結合を持つ非線形振動子の間の相互同期現象に関する理論的な解析において,これまで位相縮約法と呼ばれる手法が重要な役割を演じてきた.我々は先行研究において,振動子への入力が十分弱い場合にしか適用できなかった従来の位相縮約法を拡張し,強い入力に対しても有効な新しい縮約法を提案した[W. Kurebayashi et al., Phys. Rev. Lett. 111, 214101(2013)].本稿では,我々の新しい位相縮約法を応用することにより,安定な周期軌道を持つ振動子が強く結合した場合の相互同期現象を,理論的に解析するための手法を提案する.提案手法は,強い結合によって振動波形が大きく歪むような場合にも適用でき,さらに,初期値によって異なる同期状態に至るようなヒステリシス現象についても,理論的な解析が可能である.数値実験により,提案手法の頑健性を示す.