MIMO伝送技術を利用したLong Term Evolution (LTE)の急速な普及により,セルラー網のキャパシティは増大している.しかし一方でスマートフォン等の普及に伴いセルラー網が収容するべきトラフィックはそれ以上の勢いで急激に増加しつつある.近年では,市街地駅周辺等,特にユーザの多い混雑しているエリアにおけるトラフィックを効率良く収容するために,スモールセルを用いた小セル化が検討されている.しかしスモールセルのような低基地局高・小電力環境におけるMIMO伝送性能は明らかにされていない.また市街地駅前等の混雑エリアでは多くの歩行者が存在しているが,このような混雑環境におけるMIMO伝送性能は明らかにされていない.本稿ではMIMO伝送適用効果検証のため,JR品川駅及びJR渋谷駅周辺において2GHz帯 MIMO測定を実施し,空間MIMO伝送と偏波MIMO伝送の特性比較を行った.測定の結果,LoS環境では偏波MIMO伝送が有利である一方,NLoS環境では空間MIMO伝送が有利である事を示した.また渋谷駅周辺エリアでは品川駅周辺エリアに比べて周辺歩行者によって発生するフェージングのため,LoS環境において空間MIMO伝送の性能が改善する事を示した.