本研究では,我が国の人口分布の大域的特徴とその変遷を明らかにし,多地域空間経済モデルによる理論的予測と実現象との対応付けを試みる.具体的には,パワー・スペクトルに基づく簡便な空間周波数解析によって,1次元空間における理論的予測である (i) 集積の周期性と (ii) 輸送費用の低下に伴う集積数の減少を検出する.国勢調査をもとに,我が国の人口分布を1次元空間上に射影した人口分布データを1920年まで遡る複数年度にわたって作成し,提案手法を適用する.そして,我が国の人口分布の基本的特徴・時系列変化を明らかにし,理論予測との整合性を議論する.